飲食店などの事業所における新型コロナウイルス感染予防などの対策法

新型コロナウイルスとは?

 注)この記事は2020年2月6日に新規執筆しましたが、その後の情勢の変化に合わせ、随時アップデートしています。

新型コロナウイルスのこれまでの経緯

 新型コロナウイルスは2019年12月、中国の主要都市の1つである湖北省の武漢市で、初めて人の罹患が確認された感染症です。

 その後、人から人へ感染が拡がることが明らかとなり、中国だけでなく、我が国を含む中国以外の国でも、死者が出る事態となっています。

 我が国でも、2020年1月以降、複数の感染者が確認され、翌2月には初めての死者が出る事態となりました。

 2022年5月には、判明しただけでも、国内での死亡者数の累計が、3万人を超えました。

感染するとどうなるか?

 新型コロナウイルス感染症の特徴の1つは、感染後の症状が多岐にわたる点です。

 感染後、何ら自覚症状のないまま、ウイルスが体内から消失してしまう方も、少なくありません。

 また、発症しても、軽い発熱だけという方から、肺炎を発症し、重症化されてしまう方がいるなど、症状は様々です。

 重症化されてしまう方の割合も、決して少なくはなく、残念ながら、命を落とされてしまう方も、数多くいます。

 世界各国の専門医による症例報告によると、感染後の初期症状として目立つのが、「発熱」です。このほか、

 ・倦怠感
 ・喉の違和感や痛み
 ・乾いた咳
 ・下痢

 など、発症初期の段階では、風邪や季節性インフルエンザとの見分けが難しく、感染を確実に判別できる検査方法が確立されていない、といった課題があります。

 感染してから発症するまでの潜伏期間が長く、発症前でも感染を拡げる方の割合が高いことが、感染の拡大予防を難しくさせています。

 有効なワクチンや特効薬は見つかってないため、発症しても対症療法に頼らざるを得ないのが現状です。

 数年先まで流行が続くという専門家の見方もあり、感染予防はもちろん、ワクチンや特効薬の開発が急がれます。

不安にならず冷静な判断と行動を

 先述の通り、すべての感染者を見つけられる検査方法はなく、日本国内での実際の感染者数は、数倍はいると、複数の研究者により見積もられています。

 当初、「正しく怖がる」と言われましたが、元医療技術者であり、微生物に関わる業務経験もある私は、「怖がる」よりむしろ、「正しく予防し感染を拡げない」という視点が、大切だと考えます。

 確率は高くないとはいえ、自らが感染する、もしくは既に感染している可能性があることを念頭に置いた対策も、心掛けたいものです。

 新型コロナウイルスに限らず、多くの感染症の予防策は、広く知られているとは言えません。

 この記事が目にとまりましたら、次に挙げる対策で、ご自身の感染を防ぐだけでなく、ぜひ周りの方へも、予防策を広めてくださいね。

新型コロナウイルスの感染予防策

3つの「密」を避ける

 我が国では、厚生労働省が、新型コロナウイルスへの感染を予防する効果的な方法について、情報を発信しています。

 この感染症は、

 ・密集→人が集まる
 ・密接→人との距離が近い
 ・密室→閉ざされた空間

 の、3つの条件が重なる場で、規模の大きな集団感染(クラスター)が起きることが、分かっています。

 そのため、こうした「密」になる条件を避けることが、厚生労働省から提唱されています。

感染ルートを絶つ

 3つの「密」を避けること以外にも、感染症の予防策の基本になるのが、感染ルートを絶つ考え方です。

 新型コロナウイルス感染症は、咳などの飛沫と、身体の直接接触、またはモノを介した間接的な接触が、感染ルートであると判明しています。

 飛沫による感染は、3つの「密」を避けることで、大半は予防できます。

 接触感染は、こまめな手洗いと、モノの洗浄、消毒で予防できます。

 新型コロナウイルスは、薬用せっけんなどに含まれる界面活性剤に弱いことも、明らかになっています。

 単純な比較はできませんが、ウイルス由来の季節性インフルエンザに関しては、手洗いの徹底だけで、感染する可能性を半分程度にまで減らせられる、という調査報告もあります。

 念のため、手洗いのポイントをおさらいします。

 ・薬用せっけんを使い隅々までもみ洗いする
 ・手洗いには30秒以上の時間をかける
 ・指先や手の甲などの洗い残しに注意する
 ・流水で洗い流す
 ・1時間に1回は手を洗う

 以下、厚生労働省のホームページでも、効果的な手洗いの手順が示されています。

 厚生労働省:手洗い(PDFファイルが別ウィンドウで開きます)

 モノの消毒は、界面活性剤が含まれる食器洗い洗剤を使い、洗浄後は水分をふきとり乾燥させます。

 次亜塩素酸の消毒効果が注目されていますが、不安定な物質のため濃度を保つのが困難な上、人体に有害、かつ金属を腐食させることから、あまりお勧めできません。

疑わしきは「入れない」

 当たり前のことですが、ウイルス、それに感染された方が外から入れなければ、その場では感染が起きません。

 ところが、ウイルスは目に見えませんし、この感染症は、自覚症状がない方が、感染を拡げてしまう厄介さがあります。

 そこで考えられるのが、

 ・入場前に手指を消毒する 
 ・自覚症状のある方の入場はお断りする

 といった対策です。これは、来客はもちろん、従業員さんなど、事業所内に出入りする方全員に、徹底する必要があります。

 来客に比べ、従業員さんの方が制御しやすいので、従業員さんには毎日2度の自己検温をお願いし、体調に異変があれば、しばらく出勤を控えてもらうのが良いと言えます。

 非接触式体温計で、入場時に検温する事業者さんを見かけますが、体温は個人情報であること、非接触式体温計の精度は高くないことに留意する必要があります。

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マスクの予防効果は?

 実は、マスク着用による感染予防、正確には感染してしまうことへの予防効果には、限りがあります。

 くしゃみや咳などの、飛沫の遮蔽効果は、布や不織布マスクではそれなりにありますが、

 ・マスクで完全に鼻や口を覆うことはできない(隙間ができる)
 ・他人からの飛沫物が付着するためマスク表面も汚染源となる(マスクを手で触れ感染する)

 などといった理由が挙げられます。

 とはいえ万が一、自らが感染してしまった場合に、周囲への感染拡大を予防する効果は、布や不織布マスクであれば、それなりに高いことが立証されています。

 これはインフルエンザなど、咳や鼻水が出る他の感染症でも同様で、周りの大切な方を守るため、という意味で効果を発揮するでしょう。

 マスクには、花粉や砂塵など、ウイルスより大きな粒子を遮る効果が高いことから、私自身も花粉症対策として、外出時にはほぼ通年、着用しています。

 ただし、先述のように、マスクそのものが汚染源となり得り得ますので、マスクを着用する際は、汚れやすいマスク表面には手で触れないこと、こまめに手洗いをすることが、大切です。

咳エチケットをしましょう

 「咳エチケット」は、万が一自らが感染してしまった場合に、周囲に感染を拡げないための対策です。

 咳が出る、くしゃみが出るといった症状が出たとき、咳やくしゃみの飛沫が拡散し、周りの人へ感染症を拡げるリスクを高めてしまします。

 それを予防するのが「咳エチケット」、すなわち咳やくしゃみが出るときのエチケットです。

 具体的には、WHO世界保健機関や、我が国でも厚生労働省が、

 ・自らの肘で鼻や口を覆う
 ・マスクを着用する
 ・フェイスシールドを着用する

 などといったことを、自らが周りの人へ感染を拡げない策として、推奨しています。

 つい、うっかり手のひらで遮ろうとしてしまいがちですが、すると手のひらを通じた接触感染の原因となり得ますので、注意が必要です。

 マスクを着用すると、表情が伝わらず接客しにくい、との声も聞かれますが、飛沫の遮蔽効果が高い透明マスクも販売されていますので、ぜひお試しください。

他に効果的な感染予防策は?

 手洗いのほかにも幾つか、新型コロナウイルスへの感染予防に効果的であると考えられる対策があります。それは、

 ・人混みを避ける
 ・室内はこまめに換気する
 ・咳やくしゃみをしている人に近づかない
 ・体力の維持や十分な睡眠確保など健康管理に努める
 ・体調の異変時は速やかにかかりつけの医療機関を受診する

 などです。

 こうした予防策が、すべてできるに越したことはありませんが、できない項目があっても、まずはできるだけでも取り組んでみてくださいね。

飲食店での感染予防策

 今後、ご自身やご家族、それにお店の従業員さんの感染、それに来客による持ち込みを、十分念頭に置いた対策が求められます。

 一部は、先述の予防策と重なりますが、飲食店でできる感染予防策としては、

 ・席を間引いて店内の来客の密度を下げる
 ・店内を常時喚起する
 ・咳の飛沫が拡がりやすいカラオケは自粛する
 ・BGMの音量を下げるなどし大声を出す必要性を下げる
 ・体調の悪い方は店内に入れない
 ・手やモノはこまめに洗浄消毒する
 ・店内の清掃頻度を増やす
 ・食器やトングなどモノをシェアしない
 ・来客がマスクなしで店内を移動する環境を作らない
 ・黙食の推奨

 などが有効であると考えられます。

景気への影響

 2月以降、全国各地の観光地は、今に至るまで閑散としています。

 多くの人々が、景気の先行きへ不安を抱き、政府や自治体による人の移動制限が加わったことで、当面、観光などの娯楽需要は、低迷するでしょう。

 元々、観光客をメインターゲットにし、まして売上を外国人観光客など、遠方からの来客に依存するのは、今回のような時事問題の影響を受けやすい上、リピートも期待できないことから、お勧めできないというのが私の本音です。

 感染症が全世界に拡散し、この先も当面は、国をまたいだ人やモノの移動制限が続くでしょう。

 この先、消費がどこまで落ち込むのか、影響がいつまで続くのかは、予想が困難です。

 しかし飲食店には、娯楽需要の受け皿だけでなく、食を支えるインフラといった側面もあります。

 できるだけ早く、インフラ需要にターゲットをシフトしつつ、物流制限で予期せぬものが品薄となるような事態にも、備えておきたいものです。

 政府も、様々な支援策を打ち出していますが、現金の給付や助成といった策も盛り込まれていることから、不景気にも関わらず、物価が上昇してしまう可能性も、織り込んでおいた方が良いでしょう。

売上減少時のための政府の緊急支援策

 我が国では政府が、新型コロナウイルス感染症の拡大による、飲食店などの経営支援策のため、様々な制度を策定しています。

 感染予防のために、外出や集会、会合、会食が控えられることで、飲食店の需要は、しばらく低迷すると予想されます。

 売上の減少で、資金繰りが悪化したときには、十分検討に値する制度です。

 助成金や融資を受けるには、一定の条件を満たしている必要はあるものの、ありがたい支援策ですね。

 これらの制度は、経済産業省のホームページから確認ができます。

 経済産業省の支援策(別ウィンドウで開きます)

 このほか、都道府県など各自治体も、緊急支援策の拡充を始めています。各自治体に確認しましょう。

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記事執筆に係る情報

著作情報

新規執筆:2020年2月6日
最終見直し:2022年5月14日

この記事の執筆者

社長

ゴールデンマーケティング株式会社
取締役社長兼主席コンサルタント 菅井

情報参照元

 内閣官房ホームページ

 厚生労働省ホームページ

 経済産業省ホームページ

 国立感染症研究所

 WHO世界保健機関

 CDC米国疾病予防管理センター

 ほか

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